業務用無線機とアマチュア無線の違いはなにか？

消防や警察の方、タクシーで使われている無線機（トランシーバー）は、一般的に「業務用無線」と呼ばれています。その一方、似たような言葉で「アマチュア無線」というのがあります。この2つはどう違うのでしょうか。今回のコラムは業務用無線とアマチュア無線の違いについてご紹介いたします。

2022年5月13日追記しました。

業務用無線は仕事上のコミュニケーション手段として使われる無線

警察や消防の方、またはタクシーに乗ったときに運転手の人が無線機を使ってやりとりをしているのを、一度は見たことがあるかと思います。あのような、業務上で使われる無線機のことを「業務用無線」といいます。
業務用無線を使う会社は、業務内容に応じて「無線従事者免許」をもっている人を配置したり、使用する企業や団体名義で免許申請が必要な場合があります。
例えば、タクシー会社に勤めているドライバーの場合は、指令局の方が従事者免許を持っていれば、ドライバー自身は免許を取る必要がありませんが、個人タクシーで無線機を使いたい場合は、従事者免許を取る必要があります。
私たちがレンタルしている無線機（トランシーバー）も、業務用無線機に分類されますが、私たちが登録申請（免許）を実施しているので、使用者は資格がなくても利用できます。

簡易業務用無線は従事者なしでも使える

イベントなどで使う「簡易業務用無線機」は、個人名義で業務用無線機従事者免許を持たずとも利用することができます。ただし、個人名義での免許は不要ですが、所有して使う場合は、総務省に「無線局免許状または登録状」の申請をすることが条件となっていますので注意が必要です。
レンタルであれば、従事者資格や無線局免許の申請が不要なので、使いたい日からすぐに使いはじめることができるのが特徴です。

※簡易業務用無線機は、業務用無線の中でも「出力が5W（一部機種は1W）以下のもの」を指します。

また、簡易無線よりも送信出力が小さい「特定小電力トランシーバー」や「IP無線機」は、特別な免許などを持たなくても使用できます。

アマチュア無線はどういった際に使われるのか

一般財団法人日本アマチュア無線振興協会によれば、アマチュア無線の使用目的は、「金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究」と記載があります。
つまり、アマチュア無線は、業務としての利用ではなく、個人の興味や探究心の範囲内で使いましょう。と定義されています。アマチュア無線を業務で利用することは、法律で禁止されていますので注意してくださいね。

また、個人の利用であってもアマチュア無線を運用するには、「アマチュア無線技士（一級～四級）」という資格が必要です。もちろん無線局を開設するには、業務無線と同じで無線局免許状の申請も必要となります。

何故アマチュア無線が事業用として使用されるのか

最も大きな理由は、業務用無線機と比較して通信距離が長い点にあります。無線機の通信距離は出力やアンテナの長さに比例しますが、業務用無線機の出力上限が最大5Wなのに対し、アマチュア無線は20Wや50W（資格による）の高出力の無線機を使用することが可能です。そういった点から長距離での通信が求められる運送系や旅客船などの事業者がアマチュア無線を事業用途で使用してしまう例があります。

【結論】業務無線はビジネス用、アマチュア無線はプライベート用

仕事の中で業務通信をする際や、会社のイベントやスポーツ大会などで使う無線機（トランシーバー）は、業務無線の中の簡易無線というカテゴリーの製品です。

簡易無線は、個人としての特別な資格は不要で、所有する場合はその団体名義で免許や登録が必要ですが、レンタルであれば貸出し元が登録状（免許）を取得している為、申請不要で手軽に利用することができます。
企業でなくても、団体（実行委員会など）でイベントを主催する際などに、アマチュア無線で運営の連絡を取り合うのは業務用途とみなされるので違法となります。

例としては、町内会のお祭りなどで、臨時駐車場の交通誘導などで1日しか使わないから何人かでアマチュア無線を持ち寄って使用してしまうケースなどがありますが、これは違法となりますので注意が必要です。