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無線機

IP無線機で使用するIPネットワークの仕組みと特徴

IP無線機は、NTTドコモ、au、ソフトバンクといった携帯電話会社の通信網を用いた長距離通信ができる無線機です。

IP無線機の通信には、IPネットワークと呼ばれる通信網が使われます。IPとは、インターネットプロトコル(Internet Protocol)の頭文字で、インターネット上におけるデータの処理方法を表し、データのやり取りに使用される通信網をIPネットワークといいます。

この記事では、IP無線機のIPネットワークをつかった通信の仕組みと、通信を行う際のサービスエリアについて紹介します。

IP無線機とは

IP無線機は、送受信を行う無線機同士が携帯電話会社の通信エリア内にあれば、IPネットワークを介し、東京と大阪間、屋内と屋外など全国どこでも通信が可能です。

携帯電話会社の通信網を利用する点において、携帯電話による通信と類似していますが、携帯電話と異なる点として、通話ボタンを押すだけで通話を開始でき、操作が簡単であること、同時に複数機でのグループ通話が可能であることなどが挙げられます。

また、自動車やバイクの運転中、IP無線機のハンズフリー機能や、マイクを手で保持して、送信ボタンを押しながら通話する機能(プレストーク、PTT機能)を用いて通話する行為は、道路交通法違反になりません※。そのため、マラソン大会や屋外での大規模イベントなど、特に乗り物を用いた広範囲での移動が発生する場面や、距離の離れた複数箇所において、即時の情報交換が必要な場面での使用に適しています。

※経済産業省webサイトより: https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731006/20190731006.html

IP無線機と他の無線機の違い

一般的な事業者に使用される無線機(インカム・トランシーバー)には、IP無線機のほか、以下の3種類の無線機があります。

  1. 特定小電力トランシーバー
  2. 簡易業務用無線機
  3. MCA無線

IP無線機と特定小電力トランシーバー、簡易業務用無線機との違いは、通信範囲の広さです。

IP無線機はIPネットワークを使って通信するのに対し、特定小電力トランシーバーや簡易業務用無線機は、無線機同士が直接電波の送受信をすることで音声通信を行います。

特定小電力トランシーバーや簡易業務用無線機は、無線機同士で直接電波の送受信を行うため、保持者同士の距離が離れている場合や送受信者の間に建物や壁やなどの遮蔽物があるといった場合、通話品質の低下や通話自体ができなくなることがあります。

MCA無線は、IP無線機と仕組みが似ていて、各地にある中継局を介して通信を行います。携帯電話のデータ通信網を一律に使用するIP無線機と異なり、MCA無線の場合、任意の中継局を選択し、その数やエリアによって月額の契約料金が変わります。

広域で通信可能なIP無線機ですが、購入する上での注意点として、無線機の使用に際し、無線局の登録や免許の取得は不要ですが、携帯電話各社の通信網を利用することから、本体価格のほかに毎月月額2,000円程度の通信費がかかります。

IP無線機を使う上で利用できる通信業者

IP無線機を扱う事業者は、自社のIPネットワークとIP無線機本体を提供するSoftBank、NTTドコモのほか、auの4G/LTE回線を用いるICOM社、NTTドコモの回線を用いるSmart Wave社、J-Mobile社などがあります。

IP無線機のIPネットワークの仕組みと特徴

IP無線機の「IP」とは、インターネットプロトコル(Internet Protocol)の頭文字で、インターネット上でのデータの処理方法を表します。

IP無線機では、送信機側で入力された音声信号を、VoIP(Voice over Internet Protocol)と呼ばれる方式にてデジタル変換し、デジタル変換されたパケット信号を、携帯電話会社が提供しているIPネットワークを介して受信機に伝達します。

IP無線機では、特定小電力トランシーバーや簡易業務用無線機と異なり、送受信機同士が直接電波のやり取りを行うのではなく、インターネット回線を介したパケットのやり取りが行われます。そのため、通信距離の制限がない、混信による盗聴被害などの心配がない、電波が安定しているといった特徴があります。

【特徴1】通信距離の制限がない

携帯電話会社が提供している通信網を使用するため、携帯電話会社のサービスエリア内においては、通信距離の制限がありません。

【特徴2】混信による盗聴被害などの心配がない

IP無線機を用いた通信を行う際、通信に使用する機器には、IPアドレスと呼ばれる識別のための番号が割り振られ、データの送受信は、指定されたIPアドレスを持つ機器同士に限って行われます。

特定小電力トランシーバーや簡易業務用無線機による通信を行う際、通信を行う無線機は、使用する電波のチャンネル(周波数)によって決まります。例えば、11チャンネルに設定された無線機から電波を送信すると、送信された内容は同じ11チャンネルに設定している無線機で受信されます。

イベントなどで、付近で同じ周波数のチャンネルを用いた通信が行われていたり、使用しているチャンネルに近い周波数帯による通信が行われていたりする場合、第三者に通信内容を聞かれてしまったり、他者の通話が割り込んできてしまう「混信」や、周囲の電波の影響で通信距離が短くなる「抑圧」と呼ばれる現象が発生します。

一方、IP無線機の場合は、通信を行う無線機はIPアドレスにより決まるため、混信が発生することがなく、第三者に通信内容を傍受される恐れがありません。また、音声信号をデジタル変換する際にはデータの暗号化が行われることから、高いセキュリティが確保されています。

【特徴3】電波が安定している

携帯電話会社では、サービス提供エリアの人口や通信量などを勘案して、エリア内での通信環境の整備を行っています。そのため、サービスエリア内においては、携帯電話での通信に使用されるものと同一の、安定した電波が確保されています。

【注意点1】IPネットワークを使った通信である

IPネットワークに、災害発生時など平時の何十倍もの通信が集中した場合(通信が輻輳した場合)には、携帯電話会社によって、通信制限が行われる場合があります。また、各社のサービスエリア外(携帯電話が圏外となる場所)では通信を行うことができません。

いずれの携帯電話会社も、都市部や市街地においては基本的に圏外になることなく、IP無線機での通話が可能です。一方、山間部や沿岸、海上などのキャリアの通信可能エリア外通信が予想される場合は、あらかじめ、携帯電話各社のエリアマップなどで、サービスが提供されている場所かどうかを確認しておくといいでしょう。

携帯電話会社のサービスエリア外で通信を行いたい方は、通信範囲に応じて簡易業務用無線機または特定小電力トランシーバーの利用を検討すると良いでしょう。

まとめ

IP無線機は、NTTドコモ、au、ソフトバンクといった携帯電話会社のネットワークを用いた通信を行う無線機です。簡易業務無線機、特定小電力トランシーバーを用いた通信と異なり、通信機器間の距離にかかわらず、広範囲で、高い通話品質での通信が可能です。運用に際しては、携帯電話会社の通信網を利用するため、携帯電話と同様に、毎月の使用料金が発生する、携帯電話会社のサービスエリア外では通信できないといった点に注意が必要です。

使用の際には、あらかじめ携帯電話会社各社のエリアマップを確認し、使用予定場所でのサービス提供の有無を確認しましょう。


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