普段から無線機を使っている方にとって、全国全域(カバーエリア99%)で通信できるIP無線の登場は衝撃的だったのではないでしょうか。
使用感は今までの無線機と変わらずに圧倒的な通信エリア・・・これだけで既に多くのシーンで利用されている理由が分かりますね。
でも実はもっと前から全国の広いエリアで通信ができる無線機があるってご存知でしたか?
MCA無線の概要
簡易業務用無線機が本体同士で直接電波を送受信するのに対し、MCA無線は中継局を経由して通信を行います。中継局は国内114箇所に設置されていて、1つの中継局が半径約20km~40kmの通信可能エリアを保持しています。1つの中継局内で通信を行う他、全国の中継局を利用して国内の主要エリアで通信を行うことも可能です。(中継局の利用可能数は契約により異なります)
国内全域をカバーする独立した通信網は電話網(固定電話や公衆電話など)や携帯電話の通信網のようにいくつかありますが、無線機用の通信網としてはMCA無線の中継局が唯一の専用通信網と言えます。
専用網だからこその強み
MCA無線の中継局で網羅された通信網は、上記に挙げた他の通信網より物理的に強いという特徴があります。
なぜかというと、他の通信網は電線であったり電柱などに取り付けられた基地局で通信網を構築している為、災害時に断線や倒壊により通信網が壊れてしまうことがあります。一方でMCA無線の中継局は大規模災害に備えて新耐震基準を満たしている他、非常用発電装置を備えているなど災害に強く設計されています。
実際、東日本大震災をはじめ、国内での大規模な災害時にもそれぞれの地域で通信網が壊れることなく活用された実績があります。
活用事例
国・地方自治体や公共事業者をはじめ、運輸や交通機関、土木建築やサービス業などで幅広く利用されています。
ハンディ機同士の通信がメインの業務用無線機と比べて、車両に取り付けて移動しながらの通信が含まれる業種での利用が多い傾向にあります。
また、通信網の堅牢度が重視される自治体やライフラインを支えているインフラ系の業務での活用も目立ちます。
有効な機能
MCA無線には、「一斉通信(1対多数)」「グループ通信(1対特定グループ)」「個別通信(1対1)」の通信機能が備わっています。
他のカテゴリの無線機(特定小電力トランシーバーや業務用無線機)にも同様の機能が搭載されている機種はありますが、MCA無線と比べ利用エリアが狭いのであまり活用されていないのが実情です。一方MCA無線は車両間の通信など、交信するエリアが広いので上記の通信機能が有効に活用されているようです。
料金形態
地域によって異なりますが、1つの中継局(半径約20km~40km)を利用する場合月額約2千円ほど、複数の中継局を利用する場合は契約形態が数種類あり、月額約3千円ほどから利用可能です。別途、付加サービス(月額約数百円から1万円ほど)に申し込むとデータ通信や、電話のように送信者と受信者が同時に話ができるようになるなど柔軟な料金プランとサービスプランがあります。
まとめ
MCA無線はライトユーザーまでカバーしている簡易業務用無線機と比べると導入数は少ないですが、導入されている自治体や企業にとっては重要な通信インフラとして活躍しています。他の無線機には無い独自の通信網(中継局)や災害に対しての強さをベースに、無線機の機能をしっかりと生かしているという点ではあまり使われることのない機能をたくさん搭載した無線機より実用的な無線機という存在だと言えるのではないでしょうか。
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